タイムアウト ソウル版

近々仕事でソウルに行くので、「タイムアウト」のガイドブックを買って読み始めた。タイムアウト・シリーズの良いところは、小さいサイズにぎっしり情報が詰まっていることだ。ソウル版で256頁、8ポイントくらいのセリフ体フォントがシングルスペース、二段組みで組まれている。写真、地図、広告は、合わせても全体の15パーセントぐらい。だから、とにかく読むためのガイドブックだ。

英語のガイドブックでは有名な「ロンリー・プラネット」もあるが、これもテキスト主体の読むためのガイドブックだ。プラネットもタイムアウトも大差はない気がするが、ソウル版を比べると、タイムアウトの方が版が新しかったので決めた。

海外旅行のガイドブックといえば日本では「地球の歩き方」が絶大な人気を誇っている。大学生の時の海外旅行では「歩き方」には大変お世話になった。当時は、英語がいまほどすらすら読めなかったし、アマゾンもない時代でプラネットやタイムアウトの存在も知らなかったので、選択肢がほかになかったというのもある。旅行ガイドというのはこういうものだ、と思いながら、通過した町や必要のない頁は破り捨て、少しでも荷物を軽くしながら移動したものだ。

20年前と比べると、現在の「歩き方」もかなり様変わりしたなあと思う。昔はもっと安い紙を使っていたし、いまほど写真や地図はなかったように思う。それに昔は、読者からの投稿情報が主だったような気がするが、今日立ち読みしたソウル版では、専任ライターが執筆しているような感じだった。

確かに「歩き方」は便利だった。あれ一冊で土地勘がなく言葉も分からない国を一人で旅行できたのだから。「歩き方」の特徴は、一冊に全部情報が詰まっていることにある。空港から市街地までのシャトルバスの発着場所の地図から始まって、地下鉄の切符の買い方も写真付きで説明しているし、毎ページごとに地図があるので道に迷うこともまずないし、「歩き方」ソウル版では、レストラン情報には日本語が通じるかどうかも掲載されていたり、焼き肉の種類が写真付きで解説もある。観光名所にはカラー写真があるので、目的の場所に正しく着いたかが確認できる。

「歩き方」の至れり尽くせりは、裏を返せば、現地の人と話をしなくても済むということだ。ホテルや観光案内所で地図をくださいとお願いしなくていいし、券売機の使い方を聞く必要もない。日本語の通じるレストランを選べば言葉で苦労しなくても済む。

別の見方をすれば、「歩き方」を読むことは代理旅行なのかもしれない。あれだけ写真があって地図があれば、けっこう鮮明に町の様子を脳内で作ることができる。読んだだけで既に行った気分が味わえるのかも知れない。タイムアウトではそれは無理だ。知識と情報は得られるが、街の画像を描くことは普通の人ではできない。

どっちがいいかは好みと目的によりけりで、私は文字読むのが好きだし、現地の人に聞くことをためらわないし、最初に書いたようにサイズの小さいのは便利なのでタイムアウトが気に入っている。今回泊まるところは大学の宿泊施設で、夜もあんまり自由時間とかなさそうで、外に食べに行くとしてもおそらく韓国の人と行くだろうから全部おまかせすればいいし、一日は観光できそうなのでお薦めのスポットは向こうの人に教えてもらえばいいぐらいの気持ちでいる。じゃあなんでガイドブックを読むのかといえば、単純な知識欲というだけでなく、実利的な理由として、向こうのお世話になる方々と雑談するときのネタ探しだ。ガイドブックにはこんな事書いてたけど実際はどうなのみたいな話を社交としてやらなきゃいけない。その時はみんな英語だから、タイムアウトのような英語のガイドブックで情報を仕入れた方が都合がよろしいというのもある。

では、まだまだ準備もしなきゃいけないので、帰ってきたらまとめて報告します。