"Variety Ligths" (フェリーニ「寄席の脚光」)

フェデリコ・フェリーニの1950年初監督作品。地方巡業中の劇団一座に、若い女リリアーナが売り込みをかける。座長はついついその女の色気にほだされて舞台に出演させる。踊り、歌などはけっして上手くはないのだが、大人気を博する。その団長は、彼女を中心に新しい劇団をつくり大もうけしようと考える。これまでの劇団を捨てて、ローマでリリアーナの脇を固めるメンバーの人選を始める。メンバーも決まりリハーサルもするが、有名な劇団にリリアーナを引き抜かれる。失意の座長は、元いた劇団の恋人と再びやり直す。

こういうストーリーだが、小津安二郎の「浮草」となんとなく似たストーリーだ。ラストの汽車のシーンは特に。フェリーニの作品は、カーニバレスクな映像が特徴らしい。難しくならず、かつ迎合的にならず、大衆文化的な作品だといえる。ストーリーは物悲しいが、映像はあでやかだ。ぼくとしては、アメリカ的なものがどう使われているかに関心があるので、「寄席の脚光」で見つけたことをいくつか書き留めておきたい。

・顔にドーランを塗ってインド人に扮したミンストレルショーみたいなシーンがあった。
・ハワイアン音楽が演奏された。
(この二つは、劇団の出し物として出てきた。)

・黒人のジャズ・トランペッターが登場。
(最近アメリカから移住してきたという設定。)

初出エキサイト 4/19/2007 TH