ヤンキースの伊良部秀輝

ファイルの整理をしていたら、伊良部秀喜がヤンキースに入団した時のアメリカの雑誌・新聞の切り抜きが幾つか出てきた。すったもんだの末、伊良部がヤンキースに移籍したのは1997年のことだが、ぼくはその年は東京に住んでいたので、記事の切り抜きはミネソタの知り合いが送ってくれたものだ。伊良部の契約はメジャーで実績がない選手としては史上最高の、4年契約で1280万ドルだったといことだから、今のレートを当てはめると、15億円近い額になる。

1997年のシーズン開幕時点で、すでに三人の日本人投手がメジャー登録されていた。野茂英雄は1995年からメジャーで投げていたし、この年から、長谷川滋利アナハイムへ、柏田貴史がメッツへ移籍した。この状況を考えると、日本人投手は珍しくはないはずだが、やはり契約金額の大きさとヤンキースに入団したということで、伊良部のニュースは大きく扱われたようだ。

Business Weekの記事は、ビジネス誌らしく、伊良部はどれだけの収益をもたらすのかを算定している。見出しは「すごい投手なの? たぶんね。マーケティング効果は? 間違いない」。それから、初登板(勝利投手になった)を伝えるTimeの記事には、「オリエント・エクスプレス」という、これ以上はない陳腐なタイトルが付いている。Wall Street Journalのeditorials欄では、メジャーリーガーの多国籍化を伝えている。腑に落ちないのが、初登板初勝利の翌日のStar Tribuneの記事。これはミネアポリスの新聞なのに、スポーツ版の一面に紙面約四分の一の大きさの伊良部の写真を載せて主役扱いする一方で、地元チームのツインズの扱いはと言うと、先発のRadkeが好投して自身が7連勝したというのに、Radkeの写真はなく、見出しがそれを伝えるだけ。ツインズの写真はあることはあるが、ケリー監督が審判の判定に抗議をしている写真が伊良部の写真の8分の1くらいの大きさで載っている。先発が好投して勝ったというのに、こんな抗議の写真を載せたらツインズが負けたみたいに見えて、ツインズがかわいそうだ。

話を2007年のペナント・レースに戻すと、今夜のタイガースはサヨナラ勝ち。故障から戻ってきたロジャースの復帰試合を、ロジャースに勝ちは付かなかったものの、勝利できたのは良かった。これで勢いをつけてくれ。