Boston at Cleveland (Game 4)

野球は先発次第だという使い古された言い回しを実証する試合が、これで4試合続いた。昨日の第4戦は、ボストンがウェイクフィールドクリーブランドがバードが先発した。ウェイクフィールドは何度も見ているが、バードは初めて見る投手だったと思う。名前(Byrd)が気に入った。野球とは関係ない理由だが、The Byrdsというロック・バンドを連想させるからだ。バードは球速はさほどでもないが、コントロールが身上の投手ということだ。投球フォームは東尾修に似ている。振りかぶるときの両腕の振り方を4通り持っていて、それで打者を幻惑させると解説者は説明して、前のヤンキースとの試合で、松井がこの幻惑に集中を乱され、遅すぎるタイムを取り、バードを怒らせたというビデオを流した。

いっぽう、ウェイクフィールドだが、唯一最強の武器であるナックルボールをどんどん投げて、三振の山を築いた。ウェイクフィールドのナックルがどれだけ打つのが難しいかは、ボストンがウェイクフィールド専属のキャッチャー、ミラベリと契約していることでわかる。メジャーの一流のキャチャーでも捕れないナックルを、あの細いバットで打つのは至難の業だ。

そんなナックルを打たなければいけないインディアンズの攻撃で興味深かったのは、2番(カブレラ)と4番(マルチネス)はスイッチ・ヒッターなのだが、ウェイクフィールドは右投げにもかかわらず、あえて右打席で打った。これはどうやら監督からの指示だったらしい。この三試合を見ていると、クリーブランド打線は、この右打席指示のように、チームとして戦術をもって相手先発に挑んでいる感じがする。ボストンのほうは、各打者に任せているようで、チームとしての戦術がないような気がしている。シーズンから、あれこれ指示を出さないスタイルで野球をやってきたのだろう。たとえば、第三戦の先発のウェストブルックも第四戦のバードも、初球から確実にストライクを取りにきた。これは、ボストン打線は初球からは打ってこないというデータに基づいている。だったら、ボストンの方は、何人かが初球打ちを試みて、容易にストライクを与えないような戦い方を選択できたのに。もちろん、ストライクを取ろうとしてストライクを投げれる制球力を持っている投手が素晴らしいことはいうまでもない。松阪のように初球を半分以上ボールにしてしまい、自滅してしまう投手もいるわけだから。

ウェイクフィールドは最高のできだったが、5回にちょっと真ん中めに入ったナックルをソロ・ホームランされた。このホームランだけ見れば、出合い頭の一発という印象がしたので、最少失点でこの回を切り抜けるだろうという予測は外れて、このあと連打で降板、二番手もホームランを打たれ計7点取られた。この時点で勝負は決まった。4回までの完璧だったナックルと、5回の打たれたナックルを比べると、いくら最強のナックルとはいえ、高めに行けば、打者は少なくともミートすることはできる。そうして連打されたのが5回だった。低めだと目から遠いからバットコントロールが難しいのだろうが、目の近くの高さを通るボールだと、打線が二巡目ということもあり、さすがメジャーリーガー、きちんと対応できる。

レッドソックスの先発が相次いで崩れる点に非難が集まっているが、それよりも先取点を取れない打線が問題だ。レギュラーシーズンなら二線級の投手も出てくるから、そこで打ちまくって勝ちを拾うことはできるが、ポストシーズンではいい投手しか出てこない。明日も先取点を取ったチームが勝つと予測しておこう。