アメリカの野球中継

ずっと野球のことばかり書いている。でもあと一週間かそこらで終わるので、明日からのワールドシリーズが見納めになる。今日はアメリカの野球中継について、日本と違う点を列挙してみたい。

  • 選手を年齢で判断しない。ルーキーが得点のチャンスで打席に入っても「ここはひとつ新人らしい思いっきりのいいバッティングを期待したいですね」というようなことは決して言わない。ベテランがヒットを打っても「ベテランらしい技の一打でしたね」とは絶対言わない。
  • 情緒レベルの話はやらない。日本では、打者が見逃しの三振をすると、積極性がないとか、せめてバットを振ってほしかったとか言う人がいるが、アメリカではそういうグチグチしたことは聞いたことがない。三振は三振、それ以上でもそれ以下でもない。そんなことを言う時間があるのなら、投げた投手の球種とコースを再生して確かめる。あるいは、日本だと、「前の打席でヒットを打ちましたから、この打席は気分よく打てるでしょう」というが、気分という目に見えないものを、あたかも見えてるかのようなことは言わない。
  • キャスター、解説者が喋るのはひたすらデータ。当該打者と投手どうしの対戦成績、ランナーのいるときの打率、投手の右左別の成績ぐらいは当たり前として、カウント別の打率も紹介する。たとえば、今季の成績で、2ストライクに追い込まれた後の打率で三割を超えたのはたった一人(両リーグか、ア・リーグだけかは忘れたが、誰かといえば、タイガースのポランコ)というデータを出して、投手にとってストライクで追い込むことがいかに大切かを説く。
  • 技術的な話は基本的にやらない。テイクバックの位置がどうのこうのとか、スイングの時の体重移動があーだこーだとか、内角球をさばくときの腕のたたみかたを練習しろとか、投手にしても肩の開きが早いとか、下半身に粘りがつけばもっと速い球が投げれるとか、そういうことは言わない。技術的なことを言うのは、実際に起きたプレーに対して、凡プレーでもファインプレーでも、なぜそういうプレーになったのかを説明するときだけだ。思うに、アメリカ人はおせっかいを忌み嫌うし、他人の仕事を尊重するので、コーチでもない解説者が技術的なことをあれこれ言うのはコーチに対して失礼だという発想があるのだと思う。
  • 投手の投げる球、一球一球に対して球種は言わない。もちろん、次は何をどこに投げれば打ち取れるというようなことも言わない。球速は画面に表れる。ついでにいうと、見れば分かるようなことは言わない。たとえば、「ピッチャー、振りかぶって第三球を投げました。ボール。」は、言われなくても見てれば分かる。

まだまだ違いはあると思うが、思いつく分だけ書き出した。明日からのワールドシリーズで気付いたことがあったら、書き足していきたい。コロラドは、八日間の休みをどう使ったかのだろうか?ぼくはそれが気になる。練習試合をしたとかそういうレベルではなく、チームとして、個人個人として、この休みのあいだ何を考えたり、話しあったのかということだ。ぼくが監督なら、7試合戦うのだということを繰り返し言うとおもう。ずっと負けていない若い選手主体のチームだから、初戦や第二戦で負けたら、パニックに陥る危険がある。これが一番怖いシナリオだろう。だから、7試合戦うのだということを伝えることで、そのうち3つは負けてもいいという心の余裕を与えたいと考える。テレビの解説でそこらへんのことも聞けるかもしれない。