言葉は口ほどにものを言う

スーパーに買い物に行ったとしよう。カートを押していて、他人のカートが自分のカートをかすったような時、ここの人たちは決して無言で通り過ぎることはしない。かならず、I am sorryかExcuse meを言う。反対にぶつけられたほうは、That is fineとか It is OKと返して、言われっぱなしでその場を去ることはない。また、双方その言い方が大変事務的であることも指摘しておかなければならない。事務的というのは非人間的という意味ではなく、朝の挨拶のように定型化されているという意味だ。こういう光景が、ぼくには不思議でたまらなかった。こんな些細なことでも言葉を使う習慣が不思議でたまらなかった。面倒じゃないのかな? スーパーで込み合ってたらカートがぶつかるのは不可避なんだし。

そういう光景を何度も見ているうちに、またさまざまな場面でアメリカ人はどのように言葉を使うかを観察しているうちに、だんだん見えてきた。このスーパーでのような些細なことにさえ言葉を使わなければいけない理由のようなものが見えてきた。何が見えてきたのかをシリーズで少しずつ書いていこうと思う。