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マイケル・ラング「ウッドストックへの道」

あまりにも有名な1969年ウッドストック・フェスティバルの回想記。3日間にわたり、多くの有名ミュージシャンが演奏して、20万人とも30万人とも言われる人がニューヨーク州の田舎にまで見に行った。著者のマイケル・ラングは準備・運営の中心的役割を担った。…

バロウズ「ジャンキー」

近所の公立図書館で見つけた。ウィリアム・バロウズの最初の小説ということになっているが、麻薬中毒者として生活した頃の自叙伝である。懐かしさと、最近某有名人が覚醒剤所持で逮捕されたのもあって、ひさしぶりに読んでみた。思い返せば、二十代で「ジャ…

アイザックソン「スティーブ・ジョブズ」第1巻

パーソナル・コンピューターの発達や、ジョブズが育ったベイエリアの文化的環境が、丁寧に書かれている。個人的には、ジョブズ自身や伝記的な生い立ちよりも、カウンターカルチャー、ニューエイジや、パーソナル・コンピューター誕生に関心があるので、じゅ…

コールドウェル「タバコ・ロード」

1920年代の南部ジョージア州の貧しい農民の生活を描いた小説。産業化の波に呑み込まれ、生活を変えることを躊躇しているうちに、ますます状況が悪化するという、読んでいて辛くなるストーリー。作者のコールドウェルだが、本国アメリカではそれほど評価され…

「カウンターカルチャーのアメリカ」目次

カウンターカルチャーの単行本は、校正の最終段階に入りました。章立てと各章の見出しはだいたいこんな感じになります。若干の変更はあるかもしれませんが。2014年4月中に刊行の予定です。 序章 社会的安定と不安定のはざまに生まれたカウンターカルチャー …

「半沢直樹」を見ながら思いついた、組織で生きる人間を描いた娯楽作品リスト

最初に思い出すのが、1939年の映画「スミス都へ行く」(原題 Mr. Smith Goes to Washington)。偶然から下院議員になったスミス氏が、ダム建設に絡む不正を暴く物語。この映画でスミス議員が不正を企む人たちを前に演説を繰り広げるシーンが、半沢のキャラク…

エド・サンダーズによるポエム風ギンズバーグ伝:The Poetry and Life of Allen Ginsberg

タイトルを見て、アレン・ギンズバーグの伝記か評論だと思い、買ったら、どちらでもなかった。詩人ギンズバーグの一生を叙事詩的にまとめた本。すべて事実に基づいている筈。詩のスタイルで書かれているけど、マラルメやカミングスのような難解なものではな…

普通の目でアメリカを見てみよう(Keller & NYT, Class Matters)

日本人にとってアメリカのイメージといえば、貧富の差が激しくて、金持ちは貧乏人を徹底的に搾取するし、外交的には自国の利益しか考えず、とくに日本に対しては高圧的ということになっていて、そう信じている人が、政治家や研究者にもかなりいる。そういう…

エド・サンダーズ「ザ・ファミリー」

世の中にはカルト宗教と呼ばれる集団がたくさんある。宗教の装いをしながら、裏で反社会的な行いをする集団をそう呼んでいる。でも、それは事後的に決まるもので、どれが反社会的カルト宗教で、どれが社会的と共存している善良な宗教なのかは見分けはつかな…

繁栄から置いてきぼりを喰らった虚勢集団ヘルズ・エンジェルズ

アウトローではなく、ルーザー。ヘルズ・エンジェルズを一言で言い表すとしたらそういうこと。ヘルズ・エンジェルズは「負け犬の文化」みたいなものを共有した集団だった。彼らは社会に反抗しているのではない。自分の無力さがよくわかっているから、仲間と…

ビートルズは異次元に格好よかった:エド・サリヴァン・ショーのDVDセット

アメリカ人気テレビ番組「エド・サリヴァン・ショウ」に、ザ・ビートルズが出演した4回分を納めた2枚組DVD。1964年。アメリカでザ・ビートルズがお披露目となった記念すべき番組。このDVDを買う人のほとんどはビートルズ目当てだと想像するが、意外とビートルズ…

ハンター・トンプソン「アメリカン・ドリームの終焉」は絶版で安堵した

読み始めてしばらくして思ったことは、これが「ヘルズ・エンジェルズ」を書いたのと同じハンター・トンプソン? こちらとしては、あの「ヘルズ・エンジェルズ」を書いた人なんだから、すごいに違いないという気持ちで読み始めたが、途中からは読むのをやめて…

アメリカの地方新聞を読もう

ネットでアメリカの新聞が読める便利な時代。メール配信してくれる新聞もあり、しかも無料。使わない手はないということで、仕事や英語の勉強の目的で、ニュー・ヨーク・タイムズやウォール・ストリート・ジャーナルでニュースをチェックしている人も多いと…

フィル・オクス(Phil Ochs)というプロテストシンガー

フィル・オクスをまったく知らない人に、フィル・オクスがどういうシンガーだったのかを説明するのはむずかしい。いちおう、社会派プロテストシンガーだったと説明すれは、聞いた人は何となく分かってくれるのかも知れない。 しかし、オクスはこれといったヒ…

ロバート・スクラー

「アメリカ映画の文化史―映画がつくったアメリカ」の著者であり、アメリカ映画研究者のロバート・スクラー (Robert Sklar)が亡くなった。(NYTの訃報)大学院でアメリカ文化研究の勉強を始めるまえに、「映画が作ったアメリカ」(原題:Movie-Made America)を…

Black History Month

二月はBlack History Month(あるいはAfrican American History Monthともよばれている)に制定されていて、アメリカ各地で、アフリカ系アメリカ人の歴史を紹介したり偉業を称えるイベントが開催される。どんなイベントが行われるかというと、例として、サン・…

アラン・ローマックス選集

先日、アラン・ロマックスの伝記のことを書いた。それが手まねいてくれたのか、、図書館で別の本を探していると、ロマックスの評論集の翻訳をぐうぜん見つけた。「アラン・ローマックス選集 アメリカン・ルーツ・ミュージックの探求 1934ー1997」(ロナルド・…

アラン・ロマックス伝記(Alan Lomax: The Man Who Recorded the World by John Szwed)

イギリスのロックバンド、アニマルズの1964年のヒットシングル「朝日の当たる家」(The House of the Rising Sun)を、アニマルズのオリジナル曲と思っている人が多いが、これはカバー曲である。では誰のオリジナルなのか? 実ははっきりしない。この歌を最初に…

「フィンランド駅へ」

こんな作品を書きたいなあ。エドマンド・ウィルソンの「フィンランド駅へ」を読みながら、10回ぐらいそうつぶやいた。エドマンド・ウィルソンはアメリカの高名な批評家で、「フィンランド駅へ」は社会主義思想の系譜を辿った1940年発表の本だ。ウィルソンは…

The Green Berets

大学の大講義室で映画を見た。「グリーン・ベレー」というタイトルだった。1968年の作品で、ジョン・ウェインが主演。でも西部劇ではない。ヴェトナムを舞台にした特殊部隊が「大活躍」する映画だ。1968年といえばヴェトナム戦争のまっただ中ではあったが、…

「フルメタル・ジャッケット」

7時から大学で映画を見た。Full Metal Jacket (1987)という作品。キューブリック監督のヴェトナム映画だ。前半はサウス・キャロライナ州のParis Islandにある海軍訓練所の生活(Billy Joelの"Goodnight Saigon"(1982)にも歌われている)、後半はそこを卒業…

アメリカ1960年代アバンギャルド映画

大学付属美術館主催のレクチャーにでかけた。今日のお題は、Poetics of Sex and the Pornography of the Invisible: American Avant-Garde Film of the 1960s 。3人の前衛映像作家の作品を見た。最初は、Stan BrakhageのWedlock House: An Intercourse (1959…

Good Night, and Good Luck

アメリカ1950年代前半に吹き荒れたマッカーシー旋風に敢然と立ち向かったテレビキャスター、エドワード・マロー Edward R. Murrowを主人公にした映画Good Night, and Good Luckを見た。タイトルは、マローが番組(See it Now)の終わりに必ず言う決まり文句…

ハロウィーンに気をつけましょう

在米日本領事館から、ハロウィーンの注意についてメールが来た。ぼく自身はそういう歳ではないのでハロウィーンの思い出はないが、子どもたちが仮装をして家々を渡り歩く光景はしっかり記憶に残っている。でもたしかに危険ではあるので、親としては心配する…

"Heart of Gold"

3時頃には目的の町に着き、ぼくにしては珍しく迷うことなく予約したモーテルに入った。一休みしてから辺りを走り回り地理感覚をつかんだ。とりあえず確認しておきたいのは、面会の約束をしている人のオフィスの位置、東西と南北のメインストリートを一本ずつ…

「ブルックリン横丁」

これはエリア・カザン Elia Kazan の1945年制作の映画。英語の原題は A Tree Grows in Brooklyn。大学の図書館で上映会があったので見に行った。カザンはかなり有名な映画監督で、「欲望という名の電車 A Streetcar Named Desire」「波止場 On the Waterfron…

"An Inconvenient Truth"

"An Inconvenient Truth"(「不都合な真実」?)を見た。アル・ゴア主演の地球温暖化警告ティーチ・イン映画だ。中学、高校の授業でそのまま使えそうな感じのまじめな映画だった。この人は副大統領のときはIT推進の旗を振って、今は環境問題ということらしい…

"Salt of the Earth"

Salt of the Earth (1954)は、労働争議を描いたドキュメンタリー映画だ。ニュー・メキシコ州の炭坑で、メキシコ移民の労働者たちがストを起こした。目的は白人労働者と同等の扱いを求めるとうものだ。最後は経営者側が譲歩するのだが、この映画の面白いのと…

"Next Stop, Greenwich Village"

「グリニッジ・ヴィレッジの青春」と訳されている1976年のアメリカ映画。Paul Mazursky監督。時は1953年、ニューヨークのブルックリンに住むユダヤ人家族の22歳の一人息子ラリーが、スーパー・ヒステリックな母が号泣する中、一人暮らしを始めるために家を出…

"A Prairie Home Companion"

これはUnitedの機内で見たのだが、ちょうどぼくがこれを地上10000メートルの上空で見ている頃、監督であるロバート・アルトマンRobert Altmanが亡くなった。 "MASH"や"Nashville"という大傑作映画を作った監督だった。2006年の夏に公開されたこの"A Prairie …