"An Inconvenient Truth"

"An Inconvenient Truth"(「不都合な真実」?)を見た。アル・ゴア主演の地球温暖化警告ティーチ・イン映画だ。中学、高校の授業でそのまま使えそうな感じのまじめな映画だった。この人は副大統領のときはIT推進の旗を振って、今は環境問題ということらしい。地球温暖化の科学的議論についてはぼくははっきりいってわからない。この映画でのデータの使い方についても都合がよすぎる気がしないでもないが、とりあえず触れないでおこう。ぼくが気になったのは、ゴアが、この映画で何度も、地球温暖化を防ぐのはなによりも一人一人のモラルだと言っていることだ。環境問題がもしゴアが言うように急を要する問題なら、一人一人のモラルを啓発している時間はない。政治的にガッとやる必要がある。でもそれが京都議定書でうまくいかなかったと映画の中でも言っている。今すぐ実効性のある方策を取らなければいけないことに対してモラルを持ち出すという点で説得性がない。でも映画として考えれば、そうとでも言わなければほかにいい言葉が見つからないというのも事実だろう。モラルという言葉は、困った時の最後の神頼みみたいな意味合いで使われることがよくある。「意識」という言葉も同じように使われる。地球温暖化に関してこれがあてはまるのかどうかわからないけれど、多くの場合、「モラル」「意識」と言い出した時点で、その問題はすでに手遅れか、試みが頓挫したことを示しているように思う。


初出エキサイト 9/22/2006 F http://takebay1.exblog.jp/4363031/