アイザックソン「スティーブ・ジョブズ」第1巻

パーソナル・コンピューターの発達や、ジョブズが育ったベイエリアの文化的環境が、丁寧に書かれている。個人的には、ジョブズ自身や伝記的な生い立ちよりも、カウンターカルチャーニューエイジや、パーソナル・コンピューター誕生に関心があるので、じゅうぶん役に立った。経営者としてのジョブズよりは、PC産業の発展がジョブズを中心に語られているという感じか。

「アップルI」の話は第1巻の3分の1くらいのところで出てくる。私の関心はここら当たりまでにあるので、それよりさきは読んでいないが、ここまでの書きぶりから想像するに、著者のアイザックソンはジョブズの人生だけでなく(彼の変人ぶりもたっぷり紹介されている)、PC産業史にもじゅうぶん配慮をしているような印象を受けた。

ジョブズカウンターカルチャー的ライフスタイルにぞんぶんに浸っていたような書かれ方をしていることは意外だった。それから、ベイエリア軍需産業の関係も、具体的な企業名(ヒューレット・パッカードなど)が出てきて面白い。パーソナル・コンピューターの歴史をおさらいするにも良い本だと思った。