アメリカ1960年代アバンギャルド映画

大学付属美術館主催のレクチャーにでかけた。今日のお題は、Poetics of Sex and the Pornography of the Invisible: American Avant-Garde Film of the 1960s 。3人の前衛映像作家の作品を見た。最初は、Stan BrakhageのWedlock House: An Intercourse (1959)と Cat's Cradle (1959)。Wedlock House は11分の白黒サイレントで、ホーム・ムービー風の映像に映し出されているものは、自身の結婚生活だ( 自分と妻を撮っている)。タイトルが示すとおり、セックスがモチーフになっている。Cat's Cradle は6分のやはり白黒サイレント。猫の視点でこの新婚カップルを撮っている。言葉も演技もないこの2つの映像は、結婚生活の暴露というか、見る側から言えば、覗き見みたいな(voyeurism)感覚を味わえることになる。映像的にはかなり凝っている。

二人目は Carolee Schneemann。Fuses (1965 or 1967) はフェミニストの視点から男女のセックスを撮った作品。22分のカラー映像のほとんどは男女のセックスで、男性器のアップが多くて、女性の歓喜の表情(いわゆるポルノで見るような女性の表情とは全然違う種類の歓喜の表情)の繰り返し捉えている 点は、いかにもフェミ的だ。セックスの映像といっても、映像はコラージュされていたり、セルに色が塗られているので、抽象画の連写を見ているような感覚だ。その連写の中にセックスシーンが挿入されているという感じ。

3人目は誰もが知っているAndy Warholで、Blow Job(1963)という35分の短編。白黒サイレント。若い男がこの短編のタイトルの行為をしてもらってるときの気持ちよさそうな顔が、最初から最後まで大写しにされる。最後はタバコを吸って終わり。やってる人の姿は映らないので、もしかしたら男どうしかなとも思う。やってもらってる男の服が革ジャンというのも意味深だし、ゲイを暗示させることがねらいなのかもしれない。もしそうだったら、同性愛だけでなく、オーラルセックスもタブー視されていたから、ウォホールはそこらへんをつつきたかったのかな


初出エキサイト 2/23/2006 TH http://takebay1.exblog.jp/3256857/