The Green Berets

大学の大講義室で映画を見た。「グリーン・ベレー」というタイトルだった。1968年の作品で、ジョン・ウェインが主演。でも西部劇ではない。ヴェトナムを舞台にした特殊部隊が「大活躍」する映画だ。1968年といえばヴェトナム戦争のまっただ中ではあったが、もう態勢は見えていた。いろいろなことが起きた年だった。もちろんジョン・ウェインだから、彼率いる部隊が負けるわけがない。最後は華々しく任務を遂行して、お涙ちょうだいのシーンがあって終わる。当時の人たちはこれをどういう気持ちで見たんだろう。笑えないパロディとしてみたのか? 特に鼻についたのは、1968年の段階で、あそこまでヴェトコンを悪者扱いして説得力があったのか? The Green Beretsは1968年の興行成績第10位だったらしい。ジョン・ウェインは私財を投じてまでこの映画を撮ったらしい。

映画が終わって、まだ電灯がつく前の暗がりで、誰かがぼくに声をかけてきた。誰この人? 人まちがいだなと思っていたら、え、もしかして、あーどこのだれだったっけ? たしか、たぶん、あの時のあの人だ。でも名前なんだっけ? 向こうは、ぼくの名前を忘れたことを告げてきた。えいっ、確かこんな名前だったなと、思い切って言ってみたら、当たってた。2年か3年前に最後に会って以来だ。一度家に招待してくれたなあ。びっくりの再会だった。 その人はぼくの名前を忘れたにせよ、ぼくの専攻分野を覚えていた。すごい。こういうときの記憶力というのは、かなり重要だと思う。ぼくは結構うれしかったので、メールアドレスを探しだして、簡単なメールを送った。


初出エキサイト 1/19/2006 TH http://takebay1.exblog.jp/3054387/