Black History Month

二月はBlack History Month(あるいはAfrican American History Monthともよばれている)に制定されていて、アメリカ各地で、アフリカ系アメリカ人の歴史を紹介したり偉業を称えるイベントが開催される。

どんなイベントが行われるかというと、例として、サン・フランシスコの新聞に掲載されたイベントリストをリンクしておく。見ていただくとと分かるが、美術、音楽、トーク、ダンス、ファッション、歴史関連と多彩な催しが開かれる。義務教育でも、授業の一環として、アフリカ系アメリカ人の特別学習が組まれたりする。私がかつて在籍した、学生のほとんどは地元の白人というような小さな大学でも、アフリカ系アメリカ人の芝居集団みたいなグループを呼んで、イベントが行われたことを覚えている。その記憶はほとんどないが、一つだけ思い出せるのは、そのグループが寸劇で、人類初の心臓手術をしたのは黒人医師だったということを紹介したことだ。

Black History Monthの歴史を調べると、意外とふるく、1926年の2月にカーター・ウッドソンCarter Woodsonという学者(ハーバード大学から博士号を授与された二人目のアフリカ系アメリカ人)が、黒人文化を正当に評価する必要性を社会に認知させることを目的にNegro History Weekというイベントを行ったのが始まりのようだ。1920年代といえば、ハーレム・ルネッサンスと呼ばれた文化運動の時期にあたり、黒人だけでなくエリート白人も黒人文化を真剣に評価しようとする機運が盛り上がった。詩人ラングストン・ヒューズやデューク・エリントンのジャズなどが活躍した時代である。たぶん、Carter Woodsonの提唱したNegro History Weekも、ハーレム・ルネッサンスという大きな流れの中に位置づけてよいものと思われる。

これをきっかけとして、アフリカ系アメリカ人は毎年2月に、自分たちの文化と歴史に対する貢献を称えるイベントを毎年行うようになった。1976年にはフォード大統領が、国家創設200周年を機に、アフリカ系アメリカ人の貢献を称えることを提唱した。そういう法案が通ったということではなく、慣習として1920年代から続いてきて、1976年にフォードが呼びかけた結果、現在ではほとんど公的行事として各都市でいろいろなイベントを開いているというのが現実のようだ。


個人的に、Black History Monthで思い出すことが、最初に書いた芝居グループの寸劇の他にもう一つある。寒い2月に、買い物に出かけたついでに立ちよったBordersという全国チェーンの書店(最近、破産宣告した)で、W. E. B. DuBois (デュボイス)のBlack Reconstruction in America 1860-1880 をバーゲン特価の$3.99で買ったときのことだ。レジの人が若いアフリカ系アメリカ人男性で、「DuBoisを知ってるの? へー、すごいね。これはすごくいい本だよ。」と私に話しかけてきた。こちらはいちおうアメリカ史を勉強している身なので、デュボイスくらい知っていますとも、と言わんばかりの余裕の口ぶりで返して、ついでに、今月はBlack History Monthだね、みたいなことを言った。

ちなみに、ハーバード大学から博士号を授与された最初のアフリカ系アメリカ人が、このデュボイスである。