ブライアン・ウィルソンが聴けるのならホノルルマラソンを走ってみたい

私がランニングを習慣にしていることを知っている人たちから、ホノルルマラソンに参加したことはあるかとか、参加してみてはどうかと、まあ真剣味はないが会話のきっかけとしてときどき言われることがある。私の気持ちとしては、わざわざ飛行機に乗り、時差のある土地にまで走りに行かなくてもいいんではないか、近くでマラソン大会はたくさんあるんだし、と思っているので、ホノルルマラソンを走ることを真剣に考えたことはなかった。実際に走った人の話を聞かせてもらったこともあるが、自分も走ってみたいという気持ちにはならなかった。遠くて日数がかかるという物理的制約もあるが、あまりにもメジャーなイベント(しかも参加者の7割か8割は日本人らしい)なので、そういうものには簡単にのっかかりたくないという妙な自意識もあるにはあるということは白状しておこう。

村上春樹の音楽エッセイ集「意味がなければスイングはない」に、ビーチ・ボーイズブライアン・ウィルソンについて書かれた章がある。村上がホノルルでブライアン・ウィルソンのコンサートに行った話から始まるのだが、そのコンサートは、ホノルルマラソンの前夜祭として行われた。マラソン参加者なら誰でもそのコンサートに入場できて、食べ放題、飲み放題の食事付きでたったの15ドルというのはすごい。食べ放題、飲み放題といっても、翌日の早朝から42キロを走ることを考えると、無節操に飲み食いするのにはすこし自制心が働いてしまうかもしれないが、いずれにしても、ブライアン・ウィルソンが15ドル、ハワイで、食事付きで聴けるとくれば、心がぐらぐらしないわけがない。

これは2002年のことだ。ホノルルマラソンに参加するランナー達のために、ブライアン・ウィルソンが毎年唄ってくれるわけはないので、次回(2011年月12月)は誰だろうと公式サイトをみてみた。まだ正式決定してないようで、現時点ではほしい情報は手に入らなかったが、昨年度を見ると値段が4600円には跳ね上がっているのは驚いた。この10年間、日本の物価指数は横ばいか下降気味なのにもかかわらず、ホノルルマラソンの価値がそれだけ高騰したということか。値段はともかくとして、もういちど、ブライアン・ウィルソンホノルルマラソンの前夜祭で唄ってくれることを願う。