アイドル

多くの人がそうであるように、子どもの頃のぼくにはアイドルが何人かいた。大人になるために必要なロール・モデルをぼくはここでアイドルとよんでいる。自分の身近にそういう人を見つけられなかったので、ぼくはテレビや小説、映画、音楽の中に自分のアイドルを求めた。幸運にもぼくは何人かのアイドルを見つけた。時が経って、いつの間にか、ぼくはアイドルをさほど必要としなくなっていた、と言うのは正しい言い方かどうか分からないが、自分のアイドルたちに対して距離を置くようになった。彼らに対して批判的な態度をとったり、反論を試みたりして、ようするに自分が成長したことを自己確認したかった、と言うのは正しい言い方かどうか分からないが、ようするに自分は必要十分に成長したと思い込んでいた。その思い込みは正しいか正しくなかったかは分からないが、それはそれでよかったと思う。でも突然知った。ぼくにはまだアイドルが必要だということを。見張り塔に立っていてくれて、いつでも必要なときはその姿を確認してぼくを前進させてくれるようなアイドルが。新しいアイドルを探すべく、候補となりそうな人物に関する本を数冊、頂き物のBarnes & Nobleのギフトカードを使って注文した。