紙の辞書

前世紀の様式に戻って、ちかごろ紙の辞書を使うようになった。必要な辞書類はすべてデルのノートブックにインストールしているのだが、最近はめっきりつかわなくなって、代わりに紙の辞書をめくっている。そりゃ、時間的には圧倒的に遅い。けど、これのほうが心理的に楽な気がしている。というのも、論文とかいろいろ文章を書いているときは、パソコンのディスプレーを見続けているわけで、辞書を参照するときもやっぱりキーを叩いてディスプレーを見なければいけないのはつらいのではなかろうかと思い当たった。気分を変えると言うか、テンポを変えると言うか、目に映る景色をたまには変えるのもいいんじゃないかと。 そう考えると、アナログからデジタルの変化をまたいで生きているぼくは、なんだか得した気分になる。今の10代は最初から電子辞書なので、紙を一枚一枚めくって語を探すという退屈さに耐えられないだろう。