キンドル

やっとキンドルを手に入れた。スイッチを入れるとすぐに使えるようになっている。ホーム画面をみると、左上にShuichi's 2nd Kindleと自分の名前が出る。私のデータを入れてから出荷したみたいだ。それから2ndと出てくるのは、最初に届いたキンドル初期不良品で、新品を再度送ってもらったので「二台目」となっている。使い方にややこしいところはなく、Wi-Fi接続は自動だったし、過去にAmazonで買った電子書籍のデータをダウンロードも難なくできた。こわいくらい簡単だった。試しに新たに本を買ってみることにして、適当に本を選び、まずは無料のサンプルをダウンロードして様子見した。何冊かサンプル版をダウンロードして要領をつかんだあと、10ドルくらいの本を購入してみたけど、購入の手順が簡単すぎてこわい。クレジットカードで支払うわけだが、私のAmazon.comのアカウントとリンクしていて、改めてキンドルのキーボードを使って数字を入力する必要はない。それから、Amazonのネット注文では、注文内容の確認の画面が出てくるが、キンドルではそういう確認できるような画面は一切なくて、ボタンを押したら即ダウンロードが始まった。これはほんとうこわい。予算を決めておかないと、いくら円高とはいえ、たいへんなことになる。

それで、キンドルにダウンロードした本は、他のデバイス(私の場合は、iPod TouchKindle for Mac)に同期できる。こういうことはできて当たり前だと思う自分がいる一方で、こわいくらい上手くできていると思う別の自分もいる。ブックマークも当然のことながらデバイス間どうしで同期できる。キンドルで読んだ続きを、Touchで読むということができる。

さて、なぜキンドルを買ったのかというと、新しもの好きとしての好奇心を満たすためという趣味的な理由もあったが、切実な問題として、書籍購入コストと保管スペースの節減をキンドルで図りたいということがあった。研究に用いる書籍の量は半端ではない。大学の図書館経由で借りられる本もあるが、ほとんどはAmazon.comで買わなければいけない。Amazonで紙の本を買うとなると、本の代金に加えて配達料も払わなければいけない。一注文当たり5ドル、一冊当たり5ドルかかる。たとえば二冊注文すると、合計15ドルとられることになる。(日本のアマゾンでも結構洋書の在庫が充実しているが、価格がアメリカのAmazonより高い場合もあり、配送料を勘案して安い方を選ぶという作業が面倒くさい。)キンドル版だと、本自体の値段も紙版より少し安い上に配送料がかからない。

ところが話はそう単純ではなく、私の読みたいような専門書がいったいどれだけキンドル化されているのかという問題がある。キンドルを買う前にリサーチしてもよかったのだが(最近読んだ研究用の本30冊をAmazonでしらべて、何割がキンドル化されているかを調べるとか、、、)、めんどうだし、需要の少ない専門書も徐々にキンドル化されていくだろうという楽観で、キンドル・リーダーを買うことにした。Amazonで、ざっと見たところ、最新刊は専門書でもキンドル化されているけど、少し前のは紙版しかないというのが一般的みたいだ。ただし、古典に属するものはキンドル化されている確率が高そうだ。著作権の関係であると思われる。

他にも考えなければいけないことがある。キンドル版書籍をどう活用するかという問題だ。研究用の本は、一度読んで「面白かったなあ」「つまらなかったなあ」では終われない。ノートをとる、引用する、再度読み直す、索引を使って知りたい事項を探すなどの作業が必要になってくる。これらの作業をするとき、紙のような感覚でキンドル版を扱えるのかという不安がある。いちおう、キンドル・リーダーには、アンダーラインをつける機能や、検索機能もあるので、紙の本でやっているのとおなじことをできることはできるような設計にはなっているのだが、使い勝手としてはどうなのだろうか。この点は実際、自分で実験して結論をだすより他ない。

私としては、研究用デバイスとしてどれだけ役にたつのだろうかと半信半疑で使いだしたという感じのするキンドル・リーダーだが、趣味として本や雑誌を読むなら絶対買って損はないと思う。「タイム」などの週刊誌も紙に比べれば断然安いので、定期購読してみようかと思っている。日本語の文献もはやくキンドルで読めるようになればもっといいのだけど、どうなることやら。