英語ライティングの参考書リスト

英語を書くスキルを身につけるための参考書のリスト。アカデミック・ライティングのレベルまでまではいかないが、一般的なライティングのスキルを身につけるための本を紹介。仕事で恥をかかない程度の英語を書けるようになるための本だと理解してもらえればよいと思います。

Hacker, Rules for Writers. New York: Bedford/St. Martin’s.
大学学部生用ライティング・テキストのベストセラー。ネイティブ向けに書かれているが、冠詞など外国人にとって間違いやすい事項はESL用の説明があり親切。使い方としては、ひととおり読むことをおすすめする。ネイティブに通じる英語を書くには、何を学ばなければいけないかが把握できる。

Strausser, Painless Writing. New York: Barron’s.中・高校生向けに書かれたライティングの参考書。これもぜひ読んでもらいたい一冊。アメリカの中高校生が英語を書くときに何に悩んでいるかを知るのは有益。

Gale et al., Essentials of English. New York: Barron’s.
Hooper et al., Essentials of Writing. New York: Barron’s.
上が参考書で、下が問題集でセットになっている。レベルとしては大学学部生、社会人用か。一部難解な項目もあるが、これをマスターすれば、教養あるネイティブ並の英語が書けるレベルに到達したと考えてよい。

ネイティブ向けに書かれたライティング本、と聞いただけで、難しい、自分にはレベルが高すぎると、食わず嫌いをする人が多い。でも結構意外な発見ができて楽しいものだ。たとえば、不規則動詞の表が巻末に付いている本が結構ある。ということはネイティブだって動詞の変化を覚えるのに苦労しているってことだ。それから、混同しやすい動詞として、affect/effectはどの本も必ず取り上げている。この二つは本当にややこしいらしく、ニューヨーク・タイムズの記者ハンドブックでも違いを説明しているほどだ。ネイティブが大苦手とするこの二つの動詞の区別だが、案外、日本人はこの二つを混同しないもの。なんだ、ネイティブ大したことないじゃないか! 

上に挙げたEssentials of Writingという問題集は、87のセクションがあるが、最初の問題は、センテンスの中の主部はどれかを考えさせる。構造分析に特化した英語文法教育を受けてきた日本人学習者にすれば、これはすんなりと解ける問題ばかり。でも、ネイティブは意外とこういうところで苦労する。

一方、なんでこんな些細なことに頁を割くのかと思うこともある。その代表はカンマではないだろうか。Essentials of Writingでは87セクション中、10がコンマの練習だ。たかがカンマに覚えるべきルールがたくさんある。日本人はカンマを日本語の読点(てん)だと考えてしまう傾向があるらしく、英語を書くときでも自己流で、感覚的にカンマを打ってしまう。そうではないということを、英語学習のなるべく早い段階で知った方がいい。

日向清人「即戦力がつく英文ライティング」DHC
日本でも多くのライティング本が出版されているが、知る限りでは、この本が一番よい。

大学用のテキストを含め、日本のライティング本では、いきなりパラグラフの説明から始まることが多い。しかし、パラグラフの書き方を学ぶためには、前提として、パラグラフを構成するセンテンスを正しく書けなければいけない。でも、いったい日本人のどれだけがセンテンスを正しく書けるのだろうか? というより、「センテンスを正しく書く」と聞いて、一体それはどのようなルールがあるのかイメージがわかない人がほとんどだろう。ようするに、日本の英語教育では、英作文なる分野はあるにはあるが、センテンスの書き方についての指導が体系的になされていない。だからセンテンスを正しく書くと言われても、どのようなルールがあるのかピンとこない。

この本は約200頁で、最初の130頁をセンテンスの書き方に費やしている。のこり70頁がパラグラフについてである。正しいセンテンスを書くには、接続詞の使い方やカンマの打ち方など、学ぶべき多くのルールがある。この本では、その基本的ルールを学べる。これ一冊で、ライティングのスキル全般をカバーしているわけではないが、英語ライティングを真剣に勉強しようとする人が、最初の一冊として買うのは良いと思う。