手軽に読める英文法書 Collins Cobuild Pocket English Grammar

授業の素材として使えたらいいなという気持ちで買ったが、よさそう。文法事項を102に分けて説明している。学生に文法事項の説明をするときの例文などを探すのに役に立ちそう。

サイズは、食パンを半分に切ったぐらいの大きさ。

学習者側の使い方としては、初めて読む英語による英語の文法書としてはいい。400ページ以上あるが、字が大きめで、問題がなく説明だけなので、しかも内容的に既知の事柄が多いはずだから、短時間で読み終えられそうな点がいい。

それでありながら、大切な点はBE CAREFULという見出しで説明している。たとえば、could/was able toの違いなど。日本語の文法書で勉強した人には、自分の知識を再構成するのに役立つような気がする。たとえば、時制の項では、「presentのことについて話す」という見出しを立てて、その中で現在形や進行形の2つが扱われている。

巻末には、The Grammar of Academic English, The Grammar of Business Englishという付録が付いているのも気が利いている。アカデミックやビジネスというのは、特別な英語をさすのではなくて、言語活動の一局面をさして言っているだけなので、ここに書かれていることぐらいは誰でも使えるようになってほしいと思うし、教えていかなければいけない。学生に限らないが、会社勤務の日本人も、さらには外資系で20年秘書やりましたというような経歴の人でも、本人を目の前にして、Please explainとか、I can't understand your point、Your presentation wasn't convincingなど、さらっとした顔で言うのを聞くたびに、私は背筋が寒くなる。diplomaticな言葉遣いを早めに覚えなければ、偉くなってからでは、取り返しのつかないことになる。

留学準備コースの学生には、とにかく本物の英語を読めと言っているが、何を読んだらいいか分からない、お薦めを教えてほしいと言い返してくる。もちろん授業では英語のテキストを読ませているが、授業以外で英語を読んでいないようだ。留学希望の学生でこれなのだから、英語で情報を入手することの壁はかなり高そうだ。だから、タイム、ニューヨークタイムズ、あるいはペーパーバックを薦めても、まず読まないだろう。こういうことを考えると、面白くはないが、内容は理解できるという点で敷居の低い、このような文法書を薦めるのも一案かもしれない、4月からの学生には、最初に読む英語の本として、ためしにこの文法書を薦めてみたい。