2009-01-01から1年間の記事一覧

「愛のコリーダ」

アメリカで流通している日本映画のビデオは限られていて、黒沢、小津、溝口、宮崎以外にないものかと、監督名で図書館のカタログを検索していて見つけたのが大島渚だった。タイトルはThe Realm of Sensesで、見始めてしばらくして主人公の女の名前が「さだ」…

"It's a Wonderful Life"

クリスマスにテレビで見た映画。クリスマスに放映するのだから、それに似つかわしい内容である。1946年のフランク・キャプラ (Frank Capra) の作品。邦題は「素晴らしき哉、人生!」。小さな町に住むジョージを主人公にしたホーム・コメディ。自分は自分のや…

 "Running With Scissors"

更新するのがずいぶん久しぶり。ひとつ、書きかけのものがあるのだが、手ごわくてはかどっていない。それはともかくとして、ようやく冬らしい天気になってきた。毎日氷点下、太陽が差してこない。それから、月一回だけ町にやって来る巡回魚屋さんで、魚をま…

"Flags of Our Fathers" (Eastwood)

マイナス20℃はさすがにこたえる。これでも車が動いて、水道が凍らないのだから、たいしたもんだ。今夜はスーパーボウルだったので、学内での映画上映にはぼくたちと、もう一組だけ。その後行ったレストランでも客はぼくたちだけ。クリント・イーストウッドの…

"Do the Right Thing" (Spike Lee)

スパイク・リーの1989年の映画。ニューヨークの黒人居住区にイタリア人親子がピザ店を構えている。もともとはイタリア移民たちが多く住んでいた地区だった頃からここで商売をしていて、付近の黒人たちには知られている。通りの向こうには韓国人経営の食料品…

"Jonestown"

ヨーロッパの諺らしいが、「地獄への道は善意で敷き詰められている」というのがある。いちいち説明しなくても、この諺がなにを言わんとしているかは分かるだろう。今日はそういう話だ。1978年、アメリカのPeoples Templeという宗教団体の信者914人が、中南米…

"Babel"

ニュースで、アカデミー賞だ、菊地凛子だ、と言っているのを見て思い出した。ぼくは「バベル」を先々週見たのだった。同時に見た二本("Do the Right Thing" & "Jonestown")のインパクトが強かったので忘れていた。最初の15分くらいで、どことなく雲行きの…

The Ballad of Ramblin' Jack

ランブリン・ジャック・エリオット (Ramblin' Jack Elliott)を初めて聴く人のほとんど全員が、ボブ・ディランに似てると言うと思うが、それは正しくない。その反対で、ボブ・ディランを聴いて、ジャック・エリオットに似ていると言うのが正解である。エリオ…

The "UP" Series: 普通の人の普通の人生

生まれや育ちはどの程度その人の人生を決定するのか? そしてその人は自分の出自や自分の人生をどう考えているのか。この問いかけに挑んだ面白いDVDを見つけた。1964年にイギリスの Granada Television というテレビ局が "Seven Up!"という番組を放映した。…

Before The Music Dies

今週末はこの町で映画祭をやっている。ぼくも二本見る予定で、今夜はそのうちの一つ、音楽業界の移り変わりを撮ったドキュメンタリー"Before the Music Dies"を見た。タイトルは多分ドン・マクリーンの大ヒット曲「アメリカン・パイ」(1971)のサビの一節"t…

Who the $#%& Is Jackson Pollock?

トレーラー暮らしの初老の女性テリー・ホートンが、Thrift Shop(thriftは「倹約」の意味。中古の服や食器、電化製品、家具などを格安で売る店。品物は買い取りではなく、人々が寄付する。収益は慈善団体に贈られる。米国各地にある。ぼくも部屋着や食器類は…

いなせなSnow Leopard

mac

アップルサイトが詳しく説明しているSnow Leopardの数々の改善(refinements)中から、すぐに気に入ったものを7つ。Expose 一つのアプリケーションだけを選んで、開いているすべてのファイルを並べることができる。それから、開いているファイルを一覧表示す…

「カビリアの夜」

これはフェリーニの1957年の映画。英語タイトルは"Nights of Cabiria"。ローマに住む娼婦のカビリアは、男運がない。映画は、信じていた男にハンドバッグを奪われ、川に突き落とされるところから始まる。すると、次にひょんなことで有名な俳優と知り合いにな…

グレート・ギャツビー

人間には二通りある。自分の人生を地道に積み重ねていく者と、そのような人間を食い物にしながら生きていく人間の二通りだ。スコット・フィッツジェラルドの「グレート・ギャツビー」(Scott Fitzgerald, "The Great Gatsby")をひと言で言い表すとすれば、…

The Last King of Scotland

これは面白い映画だった。1970年代のウガンダ共和国大統領のアミン大統領を描いたストーリーなのだが、ではなぜタイトルにスコットランドとあるのかといえば、スコットランドの若い医師ニコラスがウガンダの村で働いていて、ふとした偶然でアミンのけがの手…

"Variety Ligths" (フェリーニ「寄席の脚光」)

フェデリコ・フェリーニの1950年初監督作品。地方巡業中の劇団一座に、若い女リリアーナが売り込みをかける。座長はついついその女の色気にほだされて舞台に出演させる。踊り、歌などはけっして上手くはないのだが、大人気を博する。その団長は、彼女を中心…

小学生の集中力を自分に活かす

先週から近所の大学図書館に通って執筆に集中している。大学は休暇中なので学生の数は少ないが、小中高の子どもたちが勉強しにきていて適度ににぎわっている。やかましいという意味ではなく、むしろみんなマナーがいいので静かだ。勉強の内容は違ってもいろ…

「がんばれベアーズ」

この3週間をソフトボールで楽しい時間を過ごして、ふと思い出したのがこの映画。 弱小の少年野球チーム、ベアーズの監督をすることになった飲んだくれの元メジャーリーグピッチャー、バターメイカー氏は、リーグ戦最初の試合でチームのレベルの低さに唖然と…

「大人は判ってくれない」

こういう映画はいまではあまりないかもしれない。少なくともアメリカ映画にはこういうタイプの映画はない。中途半端な優しさが最初から最後まで出てこないという意味で。12歳の男の子の不遇を描いたフランソワ・トリュフォーの1959年の初監督作品だが、学校…

Fargo

テレビでやっていたのを見た。1996年のコーエン兄弟監督作品。今日は90度を超える暑い日で、そういう日に冬のミネソタを舞台にした映画を見るのは、いとあはれなり。借金で首の回らない自動車セールスマンが、前科のある二人組を雇って、自分の妻を誘拐させ…

はてなにブログを一本化します

ぼくはエキサイトにもブログを持っていますが、二つのブログを管理するのが面倒になってきたので、エキサイトで書いたものをはてなに移すことにしました。エキスポート機能があれば楽ですが、残念ながらありません。一つ一つ手作業でやるしかなさそうです。…

Beer Summit

ハーバード大学のヘンリー・ゲイツ教授が誤認逮捕された件で、その騒動に一枚かんでしまったオバマ大統領が,事態収拾のためにビール会談を設定した。ぼくが興味を持ったのは、この事件そのものよりは、会談に出席した人が何のビールを飲んだかだ。もしかし…

Merriam-Webster's Advanced Learner's English Dictionary

先日買ったメリアム・ウェブスターの学習者用英語辞書について、良いところ、改善してほしいところを書き並べた。購入を考えている人の役に立てればと思う。 判型が他の学習用英語辞書と比べて、縦5ミリ,横10ミリほど大きい。他と統一してもらいたい。ちょ…

Songcatcher

アメリカ山間部に伝わるアングロサクソン民謡の収集に人生をかけた音楽研究者が主人公の映画。ノース・キャロライナの大学で教授昇進の道を不当に閉ざされた女性研究者リリーが、アパラチア山脈の学校で働く妹のところに転がり込む。リリーは、その土地の人…

ロバート・ジョンソンの未発掘写真

ブルースシンガーのロバート・ジョンソンは、27歳という短い生涯に加えて、死の真相もはっきりせず、音楽界では伝説中の伝説的シンガーとして知られている。レコーディングもたしか、コロンビアから出ている二枚組The Complete Recordingsがすべてだったと…

iWorkのPageは予想以上に快適だ

mac

Macを使っている人の中には、WordをやめてPageに移ろうかどうか考えている人が多いと思う。Pageのほうがずっと安いし、機能がシンプルなので良さそうだけど、互換性と操作性を考えると、移行に慎重になっている人も多くいると思う。これまでの習慣を捨ててま…

ポジティブ・シンキングはむしろ害になる

The Economistの短い記事("Words of Wisdom")だが、最初の段落にノーマン・ヴェンセント・ピールのThe Power of Positive Thinking(邦訳:「積極的考え方の力―ポジティブ思考が人生を変える」)の文字が飛び込んできたのでつられて読んだ。ちょうど今その本…

久しぶりの村上春樹

昨日から村上春樹の長編小説を読み始めた。といっても「1Q84」のことではなくて、「ねじまき鳥クロニクル」。第2部を読み始めた。第1部を読み終えたからではなくて、家にバザーで買った第2部だけがあったから。妻が蒸発するところから第2部は始まる。かなり…

GM工場跡地利用法/Flash of Genius

大方の予想通り、GMは破産法申請の道を選択した。3月にミシガンに行ったとき、空港からホテルまでのタクシーで運転手と話したのが、ミシガンの州都ランシングにあるGMプラントの再活用だった。すでに操業停止している跡地の利用法について、州経済活性化の…

日本は感染症対策の途上国だという話

インフルエンザでなぜここまで過剰に騒ぐのか、度を超えているとは思っているものの、なぜこういう過剰対応に走るのかという説明は、自分としてはできなかった。国民性だからと言うだけでは説明したことにはならないし、行政とテレビ・新聞が騒ぎを大きくし…