movie

"A Prairie Home Companion"

これはUnitedの機内で見たのだが、ちょうどぼくがこれを地上10000メートルの上空で見ている頃、監督であるロバート・アルトマンRobert Altmanが亡くなった。 "MASH"や"Nashville"という大傑作映画を作った監督だった。2006年の夏に公開されたこの"A Prairie …

「愛のコリーダ」

アメリカで流通している日本映画のビデオは限られていて、黒沢、小津、溝口、宮崎以外にないものかと、監督名で図書館のカタログを検索していて見つけたのが大島渚だった。タイトルはThe Realm of Sensesで、見始めてしばらくして主人公の女の名前が「さだ」…

"It's a Wonderful Life"

クリスマスにテレビで見た映画。クリスマスに放映するのだから、それに似つかわしい内容である。1946年のフランク・キャプラ (Frank Capra) の作品。邦題は「素晴らしき哉、人生!」。小さな町に住むジョージを主人公にしたホーム・コメディ。自分は自分のや…

 "Running With Scissors"

更新するのがずいぶん久しぶり。ひとつ、書きかけのものがあるのだが、手ごわくてはかどっていない。それはともかくとして、ようやく冬らしい天気になってきた。毎日氷点下、太陽が差してこない。それから、月一回だけ町にやって来る巡回魚屋さんで、魚をま…

"Flags of Our Fathers" (Eastwood)

マイナス20℃はさすがにこたえる。これでも車が動いて、水道が凍らないのだから、たいしたもんだ。今夜はスーパーボウルだったので、学内での映画上映にはぼくたちと、もう一組だけ。その後行ったレストランでも客はぼくたちだけ。クリント・イーストウッドの…

"Do the Right Thing" (Spike Lee)

スパイク・リーの1989年の映画。ニューヨークの黒人居住区にイタリア人親子がピザ店を構えている。もともとはイタリア移民たちが多く住んでいた地区だった頃からここで商売をしていて、付近の黒人たちには知られている。通りの向こうには韓国人経営の食料品…

"Jonestown"

ヨーロッパの諺らしいが、「地獄への道は善意で敷き詰められている」というのがある。いちいち説明しなくても、この諺がなにを言わんとしているかは分かるだろう。今日はそういう話だ。1978年、アメリカのPeoples Templeという宗教団体の信者914人が、中南米…

"Babel"

ニュースで、アカデミー賞だ、菊地凛子だ、と言っているのを見て思い出した。ぼくは「バベル」を先々週見たのだった。同時に見た二本("Do the Right Thing" & "Jonestown")のインパクトが強かったので忘れていた。最初の15分くらいで、どことなく雲行きの…

The Ballad of Ramblin' Jack

ランブリン・ジャック・エリオット (Ramblin' Jack Elliott)を初めて聴く人のほとんど全員が、ボブ・ディランに似てると言うと思うが、それは正しくない。その反対で、ボブ・ディランを聴いて、ジャック・エリオットに似ていると言うのが正解である。エリオ…

The "UP" Series: 普通の人の普通の人生

生まれや育ちはどの程度その人の人生を決定するのか? そしてその人は自分の出自や自分の人生をどう考えているのか。この問いかけに挑んだ面白いDVDを見つけた。1964年にイギリスの Granada Television というテレビ局が "Seven Up!"という番組を放映した。…

Before The Music Dies

今週末はこの町で映画祭をやっている。ぼくも二本見る予定で、今夜はそのうちの一つ、音楽業界の移り変わりを撮ったドキュメンタリー"Before the Music Dies"を見た。タイトルは多分ドン・マクリーンの大ヒット曲「アメリカン・パイ」(1971)のサビの一節"t…

Who the $#%& Is Jackson Pollock?

トレーラー暮らしの初老の女性テリー・ホートンが、Thrift Shop(thriftは「倹約」の意味。中古の服や食器、電化製品、家具などを格安で売る店。品物は買い取りではなく、人々が寄付する。収益は慈善団体に贈られる。米国各地にある。ぼくも部屋着や食器類は…

「カビリアの夜」

これはフェリーニの1957年の映画。英語タイトルは"Nights of Cabiria"。ローマに住む娼婦のカビリアは、男運がない。映画は、信じていた男にハンドバッグを奪われ、川に突き落とされるところから始まる。すると、次にひょんなことで有名な俳優と知り合いにな…

グレート・ギャツビー

人間には二通りある。自分の人生を地道に積み重ねていく者と、そのような人間を食い物にしながら生きていく人間の二通りだ。スコット・フィッツジェラルドの「グレート・ギャツビー」(Scott Fitzgerald, "The Great Gatsby")をひと言で言い表すとすれば、…

The Last King of Scotland

これは面白い映画だった。1970年代のウガンダ共和国大統領のアミン大統領を描いたストーリーなのだが、ではなぜタイトルにスコットランドとあるのかといえば、スコットランドの若い医師ニコラスがウガンダの村で働いていて、ふとした偶然でアミンのけがの手…

"Variety Ligths" (フェリーニ「寄席の脚光」)

フェデリコ・フェリーニの1950年初監督作品。地方巡業中の劇団一座に、若い女リリアーナが売り込みをかける。座長はついついその女の色気にほだされて舞台に出演させる。踊り、歌などはけっして上手くはないのだが、大人気を博する。その団長は、彼女を中心…

「がんばれベアーズ」

この3週間をソフトボールで楽しい時間を過ごして、ふと思い出したのがこの映画。 弱小の少年野球チーム、ベアーズの監督をすることになった飲んだくれの元メジャーリーグピッチャー、バターメイカー氏は、リーグ戦最初の試合でチームのレベルの低さに唖然と…

「大人は判ってくれない」

こういう映画はいまではあまりないかもしれない。少なくともアメリカ映画にはこういうタイプの映画はない。中途半端な優しさが最初から最後まで出てこないという意味で。12歳の男の子の不遇を描いたフランソワ・トリュフォーの1959年の初監督作品だが、学校…

Fargo

テレビでやっていたのを見た。1996年のコーエン兄弟監督作品。今日は90度を超える暑い日で、そういう日に冬のミネソタを舞台にした映画を見るのは、いとあはれなり。借金で首の回らない自動車セールスマンが、前科のある二人組を雇って、自分の妻を誘拐させ…

Songcatcher

アメリカ山間部に伝わるアングロサクソン民謡の収集に人生をかけた音楽研究者が主人公の映画。ノース・キャロライナの大学で教授昇進の道を不当に閉ざされた女性研究者リリーが、アパラチア山脈の学校で働く妹のところに転がり込む。リリーは、その土地の人…

GM工場跡地利用法/Flash of Genius

大方の予想通り、GMは破産法申請の道を選択した。3月にミシガンに行ったとき、空港からホテルまでのタクシーで運転手と話したのが、ミシガンの州都ランシングにあるGMプラントの再活用だった。すでに操業停止している跡地の利用法について、州経済活性化の…

Chasing Daybreak

いよいよ来週バラク・オバマ大統領が正式に誕生する。史上初の黒人大統領としてこの三か月間ずっと世界の注目を集めているが、本当の評価が下されるのは来週からである。去年の暮れ、自宅のDVDを整理していると、見慣れないDVDを見つけた。自分でそれ目当て…

ケミストリー

インテルCEOであるアンドリュー・グローブの伝記 (Richard S. Tedlow, Andy Grove: The Life and Times of an American) の最初のほうに、グローブは1963年にchemistry engineering(化学工学)でPh.D.を取得したが、化学関係の会社には就職せず、セミコンダ…

Wall Street

何かの文章でこの映画 (Wall Street 1987)のことを論じていたので、どんな映画だろうと思って見たくなった。1985年、野心に溢れた証券会社勤務のバド・フォックスの憧れは、投資銀行社長のゴードン・ゲッコーだ。フォックスはキューバ産の葉巻きをもって、ゲ…

Les Paul: Chasing Sound

レスポールといえば、ギブソンの有名なギターだが、この名前はレス・ポールLes Paulというギタリストから来ているということをアメリカにきてから知った。レス・ポールは現在90歳だがたいへん元気で、ニューヨークのクラブで今でも毎週月曜日ライブをやって…

No Country For Old Men

町の南のはずれにある映画館は、火曜日は特別割引で$3.50なので、出来栄えがよいと評判のコーエン兄弟の最新作「ノー・カントリー・フォー・オールド・メン」を観てきた。アメリカの映画館は安くていい。$3.50で、Tempur-Pedicのシートに座って、しかもがら…

Control (Ian Curtis, Joy Division)

イギリスで1970年代後期に人気を博したジョイ・ディヴィジョンというニューウェイブ・バンドのリーダーだったイアン・カーティスの伝記映画。最近制作された映画だが、全編モノクロ編集されていて、映像もわりかしきれいに撮られている。そして、ミュージシ…

Midnight Cowboy

こういう映画だとは予想しなかった。カウボーイものの映画を見たいと思って、たまたまこのタイトルを選んだ。たしかにカウボーイは出てくる、本物ではないが。テキサスの田舎から野望を引っさげてニューヨークへやって来たカウボーイ気取りの男が、都会の底…

American Gangster

ニューヨークの麻薬組織の映画。実話らしい。ヴェトナム戦争中の話だ。直接ヴェトナム(かその周辺国)から買い付けることで、安くてしかも純度の高いヘロインをハーレムで売って大もうけした黒人の男(デンゼル・ワシントン)と、麻薬特別捜査官(ラッセル…

「灰とダイヤモンド」

言わずとしれた、アンジェイ・ワイダ監督の名作「灰とダイヤモンド」(Ashes and Diamonds)。1945年5月8日、ナチスドイツが降伏した日のポーランドの首都ワルシャワの一夜を描いた作品で、平和とは? 自由とは? 祖国とは? を問いかける名作ではあるにはあ…